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令和元年度 卒業生に向けてのメッセージ

 

令和元年度 卒業生に向けてのメッセージ

学長

 令和2年3月23日、本学アトリウムを会場に「令和元年度学位記授与式」が執り行われる予定ではございましたが、昨今の新型コロナウィルスの感染状況を踏まえ、授与式は中止とする運びとなりました。
 以下、本学学長より令和元年度 卒業生に向けてのメッセージを掲載いたします。
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 新しい地図を手に入れよう  —令和元年度学位記授与式式辞に替えて—

 

卒業、おめでとうございます。みなさんのご家族、さらにみなさんと関わりの深い方々にもお慶びを申し上げます。

令和元年度の学位記授与式は、新型コロナウィルスへの感染予防のため、残念ながら中止といたしました。本日は、授与式でみなさんに直接語るつもりであったことの一部を、贈る言葉として記すこととします。話を聞いているつもりで読んでください。

「大学での4年間はいかがでした?」と尋ねられると、みなさんの心の中には、勉強での苦労、人間関係での良いこと・辛いこと、バイト、旅行などなど、さまざまな体験の思い出がぞくぞくと湧いてくるはずです。それらを全部まとめて、「善かった。愉しかった。充実していた。釧路に来てよかった。」と言ってくれるみなさんが多くいることを、願っています。そう言える人たちはきっと、親元を離れ「ひとり暮らし」をし、精神的にも肉体的にもたくましくなったことからくる自信に満ちていることでしょう。

この4月から、きみたちのほとんどはその「ひとり暮らし」の力を活かして、新しい生活に入って行くことになります。大きな期待と多少の不安が交錯する、まことに「青年期」という言葉にピッタリの時間が始まります。まずはじっくりと、この時間を楽しみましょう。私のように年齢を重ねたものからすると大いにうらやましい限りです。それだけを伝えて終わりにしたいくらいですが、社会に出るきみたちにこのあとさらに成長してもらいたいとの願いを込めて、あえて二つのアドヴァイスをお話しします。

一つ目は、きみたちがこれから加わってゆく集団・職場とのかかわり方についてです。きみたちはそこに観客として入るのではなく、チームの一員として、プレイするために入るのです。自分が当事者なのだということを忘れずにいてください。きっと、先輩たちがきみたちに厳しい、あるいは優しい言葉や態度で、さまざまな指示やアドヴァイスを出してきます。きみたちも信頼されるメンバーになるため、周りをしっかり観察し、相手の意図を推察し、まっすぐに向き合い、そして自分の気持ちを表現してください。「今年はいい新人に来てもらった」と喜ばれてください。

二つ目は、自分で自分の位置・状態を確認し続けるということです。一つ目で触れた新しい仕事・職場・人間関係は外からいわば降ってくるものへの対応なので、逃げられませんが、自分で自分を確認するということは、意識して続けないと、ついおろそかになってしまうものです。でも、これをおろそかにしていると、外との関係が大きく変化したときに、頼るべき自分・決断すべき自分がふらふらして迷いが生まれてしまいます。

 自分自身を確認するための具体的な方法の一つを紹介します。それは、新しく暮らすことになった街の大きな地図を壁に貼り、自分の住まいの位置に赤い印をつけることです。これを手始めにして、第2、第3の方法を工夫してみてください。

自分の思いと現実とのギャップを冷静に見つめる目をもって、たくましく生きている、本物の大人になったきみたちと、そう遠くない日に再会したいものです。これは、釧路公立大学の教職員全員の願いです。では、その日まで、しばしのお別れです。

  令和2年3月23日

  釧路公立大学学長   髙野 敏行

最終更新日:2020年03月23日